手・肘の主な疾患
テニス肘、野球肘、関節リウマチ、ばね指、腱鞘炎 など
テニス肘
テニス肘は、手首を伸ばす時や反らす時に使う腱を痛めている状態です。テニスのバックハンドのような動作を行うと肘の外側に痛みが走ります。なお、週末などに趣味のテニスを積極的に行っている方に見られることが多いので、「テニス肘」と呼ばれていますが、重い荷物を運搬する職業の方や、料理などで上腕部を酷使する方にも起こります。主な症状は、特定の動作の際に生じる痛みです。具体的には、雑巾を絞るとき、ドアノブを回すとき、手の甲を上にして物を持ち上げる動作のときに痛みが強まります。
治療に関していうと、まずは使い過ぎていた部位を休ませます。テニスなどのスポーツが原因のときは、しばらく練習を休止し、安静にすることが必要です。さらに、炎症を抑えるために消炎鎮痛剤を用いたりステロイド注射を行ったりします。多くの場合、こうした治療で痛みは治まります。ただし、運動を再開すると症状がぶり返すことも多いので、医師の指導のもとで運動を行うようにしてください。
野球肘
野球肘は、主に成長期にある野球選手によく起こります。繰り返しボールを投げ続けることで肘に過剰な負担をかけ、それによって肘に様々な障害が引き起こされます。通常のキャッチボール程度ならば影響は出にくいのですが、過度の投球を続けていると、肘の外側にある骨同士がぶつかるようになります。これが軟骨を損傷させ、剥離するようにもなります。肘の内側では、リストを効かせて投球するなどして靱帯が引き延ばされるので、靱帯や軟骨を傷つけてしまいます。
主な症状は、投球時や投球後の痛みです。この状態を放置して野球などを続けると、投球動作でなくても肘を動かすだけで強い痛みが出ます。また肘の関節内で遊離した軟骨片によって、肘が動かしにくくなることがあります。このようなときは、早めの治療が欠かせません。痛みを我慢して投げ続けると、肘の障害がさらに悪化させるので要注意です。通常は患部を安静に保ち、お薬によって炎症を抑えますが、ひどくなったときは手術療法が選択されます。
関節リウマチ
関節リウマチは、本来なら外敵を攻撃するはずの免疫が自分の体を攻撃してしまう病気のひとつです。患者様にもよりますが、主に手足の関節が腫れたり痛んだりします。朝方に手足の指関節がこわばる、関節のあちこちが痛む、手足のしびれや痛みなどの症状がみられたときは、関節リウマチの可能性があります。
進行すると骨や軟骨に小さな欠損部ができたり、関節の破壊や変形に至ったりするため、なるべく早い段階からの治療をお勧めいたします。初期の段階ならば、リウマチ治療の基本的なお薬であるメトトレキサートや生物学的製剤などで病状の悪化を食い止めます。これによって炎症や痛みを抑えるだけでなく、関節が破壊されるのを防ぎます。しかし、関節破壊が進行した場合は手術療法が必要になります。
バネ指
バネ指は、指の曲げ伸ばしをする際に、ロックがかかったような引っかかりを感じる病気です。指を伸ばす際にバチンと跳ね返るバネのような動きをするようになります。この病気は指の付け根の腱鞘に炎症が起きることで痛みが生じ、進行することで引っかかりやバネ現象が起こります。また、炎症をきたした腱鞘は小さなしこりのような塊になり、押すと痛みを感じるといった症状もあります。
痛みが慢性的に続くこともありますが、患部を動かさないでいると指の関節が固くなり、拘縮をきたす場合もあります。ただし、過度の安静は拘縮の原因となるため、動かせる範囲で動かすことが重要です。当院では、消炎鎮痛剤や湿布を処方したり、投薬やステロイド注射などで炎症を抑える治療を行います。そのほか、低周波治療やレーザー治療などの物理療法を行い、痛みや腫れを軽減させることもあります。
腱鞘炎
手指を屈伸する際は、腱鞘の中を腱が行ったり来たりするのですが、その際に何かしらの原因によって摩擦が起きてしまうことがあります。こうした刺激によって腱鞘が炎症を起こしている状態のことを「腱鞘炎」と呼んでいます。主な症状は、指の付け根などでみられる痛みや腫れです。とくに、手指を酷使する方に起こりやすいといわれています。常にスマートフォンを使用されている方、お仕事などでPC作業が多い方、手をよく使う仕事をされている方は腱鞘炎になりやすいので、十分にご注意ください。