首・肩の主な疾患
頚椎症、頚椎捻挫、椎間板ヘルニア、五十肩 など
頚椎症
頚椎症は、首の骨や椎間板の変性によって引き起こされます。加齢や外傷が原因となるケースが多く、中高年の首の痛み、肩こりの原因としてよく知られています。20~30歳代のころは頚椎に特段の問題がなかったとしても、加齢とともに頚椎が変化していき、50歳過ぎになると非常に多くの方にみられるようになります。
主な症状ですが、首や肩の痛みだけでなく腕や手のしびれ、手指感覚の違和感なども起こります。脊髄への影響が大きくなっていくと症状が悪化し、歩行困難や排尿困難などに悩まされる患者様もいらっしゃいます。そのため、消炎鎮痛剤やブロック注射によって症状の緩和を図るとともに、必要に応じて手術を検討します。
頚椎捻挫
頚椎捻挫は、首に過度な力がかかることによって起こります。乗車しているときの追突事故などで起こることが多く、一般的には「むち打ち症」と呼ばれることもあります。また、睡眠中に無理な姿勢を無意識的にとってしまったことで、首の筋肉に負担がかかって頚椎捻挫になるケースもあります。患者様によっては、首筋に強い痛みを感じてしまい、首が回らないこともあります。多くの場合、しばらく安静にしていることで痛みが軽減しますが、痛みが強いとき、首の違和感が一週間以上続いているときは、医療機関での検査や治療が必要になります。
頚椎椎間板ヘルニア
椎骨と椎骨の間をつないだり、クッションの働きをしたりする円形の軟骨組織のことを「椎間板」と呼んでいます。この椎間板が、加齢、激しい運動、重労働などによって変性してしまうと、椎間板は定位置から飛び出てしまいます。これに伴い、脊柱管の中を通る脊髄や神経根が圧迫されるようになります。ヘルニアはほかの椎骨で起こることもありますが、頚椎の椎間板に生じた場合は「頚椎椎間板ヘルニア」となります。
主な症状ですが、頚部あるいは肩に痛みやこりを感じるようになります。脊髄や神経根が圧迫されると、手のしびれや神経痛などの症状も強まります。そのため、痛み止めなどの内服、神経ブロック注射などを行い、痛みを緩和していきます。さらに、装具療法として頚椎カラーを使用し、首を固定します。このほか、理学療法士によるリハビリテーションを取り入れることもあります。具体的には、ストレッチや牽引療法、筋力強化などを行い、痛みを軽くしていきます。
五十肩
五十代を中心に発症することが多いので、一般的には「五十肩」と呼ばれますが、四十代でも起こるため、「四十肩」と呼ぶ方もいらっしゃいます。この年代になると、加齢に伴って肩関節周囲に炎症が起きてしまい、肩に疼痛や肩関節の可動域制限などの症状がみられるようになります。比較的に軽度の場合は、運動時の痛みを感じる程度ですが、ひどくなると、ラジオ体操などの基本的な運動が行えなくなったり、肩の痛みで洋服の着脱を行えなくなったりするので、日常生活に影響がでます。さらに悪化すると、安静時であっても夜中に肩がズキズキ痛み、睡眠困難になります。なお、五十肩は自然に治癒することもありますが、なるべく早い段階から痛みを抑えるため、患者様の状態を見極めたうえで消炎鎮痛薬などによる薬物療法を行います。