骨粗しょう症とは

骨粗しょう症は、骨量が減少し、骨の内部は鬆が入ったようにスカスカになってしまう病気です。骨に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル量は、20~30歳頃の若年期をピークに、年を重ねるとともに減少していきます。この骨密度が減少をきたすことによって骨粗しょう症と言われる状態になり、背骨が体の重みでつぶれたり、背中が曲がったり、変形による圧迫骨折をきたしたり、ちょっとした転倒で骨折するといった事態を起こしがちになります。とくに高齢女性に起こりやすく、骨粗しょう症によって骨折リスクが高くなり、大腿骨頚部の骨折などで寝たきりになってしまうケースも少なくありません。

女性に多い疾患です

骨粗しょう症患者様の8割くらいは女性だといわれています。とくに、女性ホルモンの分泌が低下する更年期以降に多く見られます。女性ホルモンのエストロゲンには、骨の新陳代謝に際して骨吸収を緩やかにし、骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する働きがあります。閉経して、このエストロゲンの分泌量が減少してきますと、骨吸収のスピードが速まるため、骨形成が追いつけず、骨がもろくなってしまうのです。なお、女性ホルモン以外にも、偏食や極端なダイエット、喫煙、過度の飲酒なども骨粗しょう症のリスクを高めます。

このような方は注意が必要です

  • 60歳以上の女性
  • ご家族に大腿骨骨折をした方がいる
  • 煙草を吸っている
  • ステロイド薬を使用している
  • お酒を大量に飲まれる
  • 背中が丸まっている
  • 糖尿病の治療を受けている
  • 20歳のころと比較して身長が5㎝以上低くなった
  • 過度の食事ダイエットをされたことがある
など

骨粗しょう症の治療

骨粗しょう症の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法が基本となります。このうち食事療法では、骨の主成分であるカルシウムやたんぱく質、骨のリモデリングに必要なビタミンDやビタミンKを積極的に摂取します。具体的には、カルシウムを1日700~800mg、ビタミンDを1日400~800IU、ビタミンKは1日250~300μgを摂取することが勧められています。これらの栄養素を積極的に摂りながら、しかもバランスの良い食生活を送ることが大切です。なお、お酒を飲み過ぎると、アルコール成分がカルシウムの吸収を妨げたり、尿からのカルシウムの排泄量を増やしたりします。カフェインもまた、カルシウムの排泄を促します。そのため、アルコールやカフェインの過剰摂取にはご注意ください。

運動療法では、ジョギングやスイミングなどの有酸素運動を毎日30分以上行うようにします。こうした運動で負荷をかけることにより、骨が丈夫になります。さらに、筋肉を鍛えることで体をしっかり支えられるようになったり、バランス感覚が良くなったりする効果も期待できます。ただし、激しい運動は、転倒などによる骨折のリスクを高めることもあるので、必ず医師の指導のもとで行うようにしてください。

なお、食事療法や運動療法では十分な改善が見込めないときは、薬物療法を開始します。使用するお薬には、骨の吸収を抑える骨吸収抑制剤、骨の形成を助ける骨形成促進剤、骨の栄養素である各種ビタミン剤などがあります。どんな薬を選び、いつから薬物療法を始めるかは、患者様個々の年齢や症状の進み具合を考え合わせながら、医師が判断します。