股関節・膝・足の主な疾患

変形性股関節症、変形性膝関節症、半月板損傷、外反母趾 など

変形性股関節症

変形性股関節症は、何らかの原因で脚の付け根部分に問題が生じてしまい、股関節が変形する疾患です。先天的な原因で起こることもありますし、後天性の疾病や外傷により起こることもあります。患者様の多くは女性で、主な症状は関節痛と機能障害です。股関節は鼠径部にあるため、最初のうちは立ち上がった時や歩き始めた時などに脚の付け根部分に痛みを覚えます。進行すると、安静にしていても痛みが出たり、夜寝ているときも痛んだりするようになります。足の曲げ伸ばしもできなくなり、日常生活に深刻な影響がでることもあります。

治療に関していうと、まずは股関節への負担を減らした生活を心がけます。患者様によって痛みの出方は異なりますが、いずれにしても痛みが出ないようにすることが大切です。当院では、痛み止めなどのお薬を適切に使って症状を抑えていきます。さらに、運動療法を取り入れるのですが、激しい運動はかえって痛みを増強させてしまいます。医師の指導のもと、スイミングやサイクリングなどの有酸素運動を行います。肥満傾向の方は、ダイエットもご検討ください。なお、薬物療法や運動療法だけでは痛みなどの症状が取れないときは、手術療法を検討します。

変形性膝関節症

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ってしまい、関節炎や変形が生じてしまう疾患です。膝の痛みで歩行がつらくなったり、水が溜まるなどの症状が現れるので、日常生活に影響がでます。初期の段階では、歩き始めなど動作開始時に痛みが出るのですが、しばらく休めば痛みが治まります。しかし、だんだんと正座や階段の昇降が困難となります。さらに進行すると、安静時にも痛みがとれなくなり、膝関節の変形も目立ってきます。

治療に関していうと、まずは保存的治療を行います。具体的には、痛み止めの内服薬や外用薬を使用したり、膝関節内にヒアルロン酸の注射などを打ったりして症状を抑えます。さらに、理学療法士が関節可動域改善訓練などの運動器リハビリテーションを行います。なお、保存的治療で治らない場合は、手術療法が必要になります。このなかには骨を切って変形を矯正する手術や変形した部分を人工関節で置き換える手術などがあるので、患者様の状態を見極めたうえで決定します。

半月板損傷

膝関節の大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨のことを「半月板」といいます。この軟骨は半月に似た形状をしており、膝関節の外側のへりをぐるりと囲んでいます。半月板が損傷すると、膝の曲げ伸ばしの際に痛みを覚えたり、膝に引っかかりを感じたり、階段の昇り降りがつらくなったりします。患者様のなかには、膝が曲がったまま伸びなくなり、ロッキングが起こることもあります。

なお、半月板損傷の治療には、保存的治療と手術治療の二つの方法があります。まずはお薬を使用し、経過を観察します。軽度の場合は、炎症が落ち着いてくるにしたがって、痛みも自然に落ち着いてきます。しかし、痛みが強い場合には、ステロイド注射やヒアルロン酸注射を打ったり、痛み止めを処方したりといった治療が必要になります。長期間にわたって痛みが続く場合、日常生活に支障がある場合、半月板の断裂が深刻な場合などは、手術療法を行います。

外反母趾

外反母趾は、足の親指の先が外側に曲がっている状態です。指の付け根となる関節の内側が出っ張るので、この部位が靴に当たるようになり、だんだんと腫れてきます。ひどい場合は靴が履けなくなるほどの痛みが発生し、外出がつらくなるケースもあります。つま先が細くなった靴を履くことで起きることが多いのですが、生まれつき偏平足の方に起こることもよくあります。そのようなときは、患者様の足の形状などを検査したうえで、必要な治療を行います。症状が比較的に軽度なときは、医療用インソールを作成したり、歩行訓練を行ったりします。重症の場合は、曲がった関節を整えるための手術を行うこともあります。